あいりっしゅ音楽理論②~ドリアンスケールの曲
こんにちは,コンサーティーナのRyoです。
前回の「あいりっしゅ音楽理論①」ではミクソリディアンスケールの曲を見てきました。
→http://sendai-irish.main.jp/2018/11/irish_musictheory1/
今回は,ドリアンスケールの曲を見ていきたいと思います。
アイリッシュ音楽のメロディーは,主に教会旋法(チャーチモード)で説明することができるというのは前回確認したところでした。
アイリッシュ音楽では,EドリアンとAドリアンがよく使われています。
マイナースケールと比較してみましょう。
通常のマイナースケールと違い,第6音が半音高くなっています。
この第6音が民族的な雰囲気を作り出している音になっているので,今回も注目して曲を見ていきましょう。
★Eドリアンスケールの曲の例
Drowsy Maggie (Reel)
Morrison’s (Jig)
Road to Lisdoonvarna (Slide)
★Aドリアンスケールの曲の例
Gravel Walks (Reel)
Cliffs of Moher (Jig)
Ballydesmond No.2 (Polka)
以下に,その他で有名な曲をまとめてみました。
(曲名はすべてThe Sessionの楽譜へリンクしています)
Eドリアンスケールの曲 | Eマイナースケールの曲 |
・Pigeon on the Gate (Reel) ・Cooley’s (Reel) ・Cup of Tea (Reel)※後半Dメジャー ・Morning Dew (Reel) ・Man of the House (Reel) ・Tarbolton (Reel) ・Ships are Sailing (Reel) ・Toss the Feathers No.2 (Reel) ・Dr. Gilbert’s (Reel)※部分的にEマイナー ・Swallowtail (Jig) ・Fig for a Kiss (Slip Jig) ・Rights of Man (Hornpipe) |
・Fermoy Lasses (Reel)※後半Gメジャー ・Kid on the Mountain (Slip Jig)※後半Gメジャー ・Butterfly (Slip Jig) ・Pride of Petravore (Hornpipe) |
Aドリアンスケールの曲 | Aマイナースケールの曲 |
・Lilting Banshee (Jig) |
・Carolan’s Welcome ・Catharsis (Reel)※Gマイナーで演奏することも多い |
以上のように,EとAのキーでは,圧倒的にドリアンスケールの曲が多いことが分かりました。
(EとA以外ではマイナースケールの方が多く見られる傾向があります)
※第6音が出てこないためどちらとも言えない曲もあります。
・Castle Kelly (Reel)
・Lafferty’s (Reel)
・Ashplant (Reel)
・Orphan (Jig)
※上記の中では,前半と後半で旋法が変わる曲もあります(ジャズの理論でいうモーダルインターチェンジの一種)
構成音が同じ旋法同士で変わっています。
[例] Cup of Tea (Reel)
Eドリアン→Dイオニアン(=Dメジャー)
↑主となる音(終始音)が異なるだけで,構成音は全く同じです!
[例] Ballydesmond No.3 (Polka)
Gイオニアン(Gメジャー)→Aドリアン
★番外編
Chicago (Reel)
一見Cメジャーと間違えそうですが,終始音に注目してみるとAドリアンという曲。
次回はマイナースケールの曲について見ていきたいと思います!